2007年11月16日金曜日

あるとき、大阪から妙な女が来た

私が、十六、七(1851年か1852年)のときのことだと思う.

諭吉が「福翁自伝」で書いています.

大阪から妙な女が来たことがある.その女が「お稲荷様を使うことを知っている」という.

だれにも、御幣(ごへい.かつて、神に布(ぬの)を奉(たてまつ)る時には、木にはさんで備(そな)えていたが、それが変化したのが今日の御幣.Wikipedia)を持たして(「持たせて」ではない)おいて、何か祈るとその人に稲荷様がとっつくとか何とか言って、私のうちに来てホラを吹いている.

「ソリャ面白い.やってもらおう.オレがその御幣を持とう.持っている御幣が動き出すというのは面白い.サア持たして(「持たせて」ではない)くれろ」というと、その女はつくづく私を見ていて「坊さまはイケマヘン」というから、私は承知しない.「今だれにでもといったではないか.サアやって見せろ(「見しろ」ではない)」とひどくその女を弱らして(「弱らせて」ではない)面白かったことがある.

その女性は、2007年の現在でもテレビで「占い」を売り物にしているそうですが、それを10000円札の諭吉が見たら何というでしょう?

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