2007年12月24日月曜日

諭吉が大切にした資本主義のお「金」は、どうなるのか?

中米カリブ海諸国に産油国ベネズエラが優遇条件で石油を供給する「ベトロカリベ」の首脳会議が、キューバで開かれました.

ベネズエラのチャベス大統領は、「帝国主義や大資本の利益のためではなく、諸国民のための新しい石油地政学が強まりはじめている」と強調しました(2007年12月24日 しんぶん「赤旗」)

石油代金の支払いは、ベネズエラがキューバなどでおこなっているように、生産物や人的サービスでも可能とし、加盟国間のバーター取引も呼びかけられました.たとえば、市場価格の6割で供給し、決済をバーター取引で処理、残り40%を低利・長期のクレジットで提供します.(同上)

ペトロカリベで採択された「宣言」は、ペトロカリベについて「エネルギー安全保障の重要な道具」「資源の乏しい国々に対する特別措置と連帯の原則にもとづく発展途上国間の協力モデル」と規定しています.(同上)

また、医療、教育分野などにおける社会政策の前進も確認され、ペトロカリベの主な目的が貧困克服にあることが確認されました.節約できた資金を引き続き社会投資にあてる必要性も指摘されています.

ペトロカリベはチャベス大統領の提唱によって2005年6月に設立され、ベネズエラやキューバなどがめざす地域統合「米州ボリバル代替構想」の発展と並行して歩んでいると位置づけられています.今回の首脳会議で中米ホンジュラスの加盟が承認され、加盟国は17カ国.ほとんどはカリブ海諸国です.(同上)

諭吉の新聞「時事新報」は、「戦争をすれば、お金もうけができる」という立場から、宗教を利用し(「バカとカタワと宗教、丁度よき取り合わせ」)、日清戦争・日露戦争を積極的に推進させ、対中侵略戦争を準備しました.

諭吉は、この活動を含め自分は「国民と政府の影の先生」(「暗に政府のお師匠さま」(福沢諭吉全集・第20巻)と自分の新聞で書いていました(1897年8月22日付け「時事新報」).

その生徒であった日本国民と日本(旧)政府は、ナチスと組んで侵略戦争に突き進んだのです.この国では、21世紀になっても「あの戦争が正しかった」とヤスクニ神社を表に出して、憲法を否定する総理大臣や国会議員が存在するありさまです.

この諭吉の新聞と、治安維持法のさなか1928年に創刊されて以来一貫して侵略戦争に反対し、国民主権を主張してきた日本共産党の「しんぶん赤旗」との間には、大きな違いがあります.その違いは、「お金が一番」と考えるのか、「戦争を頂点とする大きな不正義・差別・搾取」を命にかえても許さないのかの違いです.

この「しんぶん赤旗」の伝える21世紀初頭のラテンアメリカの状況は、かって「アメリカの裏庭」といわれていた地域ですが、この地域で資本主義の血液である「お金」に対応する、新しい国際経済の決済手段が現実になりつつあることを示しています.

年金・財政が破綻しつつある「アメリカのポチ」のお金「円」は、はたして今後どうなるのでしょうか?