http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-440.html より転載(2008年11月1日)
不適切だった">自衛隊イラク派遣:輸送違憲 「関係ねえ」発言、不適切だった−−航空幕僚長が釈明 (毎日新聞 2008年4月26日 )
イラクに派遣された航空自衛隊の輸送活動の一部を違憲とした名古屋高裁判決を巡り、「(派遣隊員の)心境を代弁すれば『そんなの関係ねえ』という状況だ」と発言したことについて、航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長は25日の会見で「発言の一部がお笑いタレントと同じような表現になり不適切だったと思う」と説明した。【本多健】
問題発言は以下のように報じられていた。
自衛隊イラク派遣:輸送違憲 空幕長「関係ねえ」 会見で「隊員の心境代弁」 (毎日新聞 2008年4月19日)
航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長は18日の会見で、前日の名古屋高裁の違憲判決がイラクに派遣中の隊員に与える影響について尋ねられ、有名お笑いタレントの流行語を引用して「私が心境を代弁すれば『そんなの関係ねえ』という状況だ」と述べ、隊員の士気に影響はないと強調した。
田母神幕僚長は「非常に純真な隊員については、一部、心を傷つけられているかもしれない」としつつ、「大多数はほとんど影響ない」と語った。高裁がイラク特措法の定める「戦闘地域」に該当するとした空自の空輸先の一つ、バグダッド空港については、「予断を許さない状況だと思う。ただ自衛隊が戦いに巻き込まれる危険はない」と強調した。
また、元文部科学相の中山成彬衆院議員(宮崎1区)は18日夜、宮崎市内で講演。判決について「問題のある裁判長で、変な判決だった。3月末で辞め『最後っぺ』(おなら)を出したようなものだ」などと語った。【本多健、中尾祐児】
私はすぐに抗議の意を表していたが、
過去ログNO.293 ったく!どういう神経をしているんだろう?・・・国会喚問せよ!
当然のことながら、イラク派兵差止訴訟の会とイラク派兵差止訴訟弁護団 が抗議声明を出していたことを今日知った。
立憲民主主義国家において、三権分立を否定し、法の支配を無視することは許されないと、簡潔に批判し、責任を追及したものである。
そして、「貴殿の発言は、憲法を無視してイラク派兵を強行し続けている政府や防衛省の「本音」を端的に示したものであり、「憲法なんて関係ねえ」と述べたに等しい。」と、その本音を鋭く告発している。
明快である。
全文そのまま紹介しておく。
航空幕僚長 田母神俊雄 殿
2008年(平成20年)4月19日
抗 議 文
イラク派兵差止訴訟の会
イラク派兵差止訴訟弁護団
4月18日,貴殿は会見の席上で4月17日の名古屋高裁の違憲判決がイラクに派遣中の隊員に与える影響について,某お笑いタレントのフレーズを引用し,「私が心境を代弁すれば『そんなの関係ねえ』という状況だ」と述べた。
我が国は、貴殿が如何にその影響を軽視しようとしても、憲法の下に法律が定められ、それが守られることを前提にして成り立つ立憲民主主義国家である。高等裁判所が政府の行為について、証拠に基づきイラク特措法に違反し、憲法に違反すると判断したことは、「関係ない」と言ってすませられることではない。むしろ、名古屋高裁判決以降に繰り返される政府の発言や、今回の貴殿の発言は、政府や自衛隊にとってイラクへの自衛隊派兵という結論こそが先にあり、法律や憲法との適合性を如何に軽視してきたかを如実に示している。
政府は、日本国憲法の下で認められた国家機関であり、自衛隊も憲法や法律に従わなければならない筈の国家機関である。そして、日本国憲法は、法律を執行する機関である行政府の行為が憲法に違反するかどうを審査する権限を司法権に与えている。その司法権の行使として、高等裁判所が下した憲法判断を無視しようとする発言は、権力相互の衝突と調整によって適正な権力行使をはかろうとした三権分立を否定するものである。
しかも、貴殿の発言は、今回の名古屋高等裁判所の司法判断を愚弄することによって、判決の価値を貶めようとするものであり、憲法尊重擁護義務が課せられている幕僚長の立場で許されるものではない。
日本国憲法は,憲法の制約の下に国家権力が行使されるべきことを規定している。とりわけ、軍事的な行動については、憲法九条により、厳しい制約を課している。また,政府の行為についての憲法適合性の最終判断権は司法府に委ねられており、高等裁判所の違憲判断は極めて重要な意味を持つ。
政府と国家機関は、イラクへの自衛隊の派遣がその根拠となったイラク特措法に違反し、憲法9条に違反するとの高等裁判所の判断を尊重することこそ求められている。
貴殿の発言は、憲法を無視してイラク派兵を強行し続けている政府や防衛省の「本音」を端的に示したものであり、「憲法なんて関係ねえ」と述べたに等しい。
三権分立を否定し、法の支配を無視するかかる発言を航空自衛隊のトップが行ったことは、到底許されるものではなく、その責任は厳しく問われなければならない。
ここに強く抗議するものである。 以上
さらに重要なことは、この発言をかばった石破防衛相や、「傍論」発言の高村外務相等、政府要人の「反省」がいまだに表明されていないことである。
憲法や司法判断を無視する行政府をこのまま、許していいものか!?
この国の基本が問われている問題である。
政治的な立場を超えて、すべての野党と国民が、この問題の追及を強め、判決を根付かせていくことが求められているのではないだろうか。
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